見た目が9割?色による味覚の印象実験
nudge LABのトップページのnudgeの説明でも挙げているスキポール空港のトイレのハエの絵の事例からも,人は視覚から得られる周辺情報に依存し行動を決定する傾向があると言われています.
そこで,どれくらい人は視覚に依存しているのかを調べるために実際に普段見慣れている白米,卵,牛乳の色を変えることでどれだけ味覚や食べる行為への影響があるか調査した実験についてご報告します.
実験1 白米・卵・牛乳の色の変化と味覚の調査
下の写真は青と赤の食紅をそれぞれ混ぜて炊いたご飯と食紅を混ぜて溶いた卵,食紅を溶かした牛乳です.ベースの色が白いご飯と牛乳はそれぞれ食紅の色がそのまま反映された色になりますが,卵は素材の色が黄色なので青を混ぜると青は濃い緑,赤を混ぜるとオレンジになります.
まずは写真にある9種類のご飯,卵,牛乳を4人でそれぞれ味見してみた感想です.
普通 | 青食紅入り | 赤食紅入り | |
白米 |
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卵 |
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牛乳 |
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味が全くない食紅を混ぜただけということを事前に知っていても色が変わると食べにくさや味覚に影響があることがわかります.
特に,卵に青の食紅を溶いた卵は何か食べてはいけない食べ物に見えてきて味見する時に激しい抵抗感を感じました.
実験2 卵かけご飯にして食べることができるかの調査
次に3種類のご飯と卵をそれぞれ混ぜて6種類の色の卵がけご飯を作り食べる時の抵抗感について調べてみました.(白いご飯と赤食紅入り卵の色は赤いご飯と赤食紅入り卵の色と相似しているので実験群としては不採用)①から⑥の順番で抵抗感なし〜ありを示しています.⑤や⑥は見るからに食べてはいけない色をしていますが,目をつぶると何の抵抗感もなく食べることができました.目をあけて⑤や⑥の卵かけご飯を見るとそれだけで内臓周辺の筋肉がしまって,明らかに身体が摂取を全力で拒否しているのが体感できました.
普通の白米 | 青食紅入り白米 | 赤食紅入り白米 | |
普通の卵 |
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青食紅入り卵 |
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赤食紅入り卵 |
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この実験で普段見慣れている食べ物の色を変えて視覚情報を変えることで味は全く変わらないのに味覚や食べる時の抵抗感に大きく影響されることがわかりました.
赤いご飯がそれほど抵抗なく受け入れることができたのは,普段見慣れているお赤飯や紅ショウガ入りのご飯と似ていると無意識に判断したと考えられます.
青色の食べ物は自然界には見られない色ですが,着色されたお菓子などで少し見慣れているので受け入れることができました.
今回の調査実験で,頭では理解できていても咄嗟の判断時にこれまでの経験に基づく見た目の印象が優先されミスリーディング(misleading)した行動をしてしまうことがありそうだということが考察できました.
自粛要請の出始めの頃,スーパーやコンビニで空になった一部の棚を見るとなんとなく他の物もどんどんなくなってしまいそうで,つい買いだめしてしまう行動も見た目の印象に影響されたミスリーディングと解釈できそうです