人間リモコンでフェロー諸島のツアーに参加
各国の観光業界がコロナ禍の影響を受け,バーチャルツアーやオンラインの体験ツアーなど色々な試みがここ数ヶ月でされています.前回紹介させて頂いたココソコは多数で空間を共有するツールなので,そもそもリアルな空間を体験することを価値として提供してきた観光業はオンラインでどのような試みがされているのか気になりいくつか参加をしてみました.
各国の観光業界がコロナ禍の影響を受け,バーチャルツアーやオンラインの体験ツアーなど色々な試みがここ数ヶ月でされています.前回紹介させて頂いたココソコは多数で空間を共有するツールなので,そもそもリアルな空間を体験することを価値として提供してきた観光業はオンラインでどのような試みがされているのか気になりいくつか参加をしてみました.
フェロー諸島のオンラインツアー(Remote Tourism faroe islands) はブラウザーから参加できるツアーで,下の写真のようにブラウザ画面に表示されたゲームパッド風の上下左右の矢印とrun, jumpのアイコンを使って遠隔の参加者は,フェロー諸島にいるツアーコンダクターの人の動きを操作します.ツアーコンダクターは島の説明や景色について話をしながら参加者が上向き矢印を押すと前に進んだり,runを押すと一定時間走ってくれます.参加者はゲームパッド風コントローラを操作し,現地の人に動いてもらうことでヘルメットに固定されたアクションカメラから送信されるフェロー諸島の景色を意図した向きから楽しむという趣向です.
4月半ばからサイトがオープンし,約700,000人の参加者がこのリモートツアーに参加したそうです.
フェロー諸島オンラインツアーライブ中のブラウザ画面
ヒューマンインタフェース,UX系の研究者の方であればご存知の方も多いかと思いますが大阪大学の前田先生のパラサイトヒューマンの研究は前庭電気刺激による錯覚を利用し人間の動きを操作する前衛的な研究ですが,フェロー諸島の人間リモコンは音声フィードバックにより人に動いてもらう仕組みです.仕組み自体はシンプルですが,ゲームパッドのインタフェースはそれで何ができるのかほとんどの人が直感的に理解できるので説明なしに誰でも使えるユーザーインタフェースで,どの国の人でも気軽に参加できる仕組みも人気の一つだったのではと思います.
また,自分で見たい方向をコントロールすることで受動的に景色を眺めるよりも主体性が髙まりよりその場所に行った感覚が生成される効果が期待されますが,今回のオンラインツアーは試験的な試みで,60分のツアーで先着60名が各1分間のみ,その日のツアー場所でコントローラを操作できるので,操作すること自体の楽しさが体験として上回ってしまうので効果の程は明らかではありません.それでも,自分で行く場所や,やることなどを決めてオンラインで操作しながら体験するようなツアーだったらどういう感覚になるのかフェロー諸島の雄大な自然を見ながら考えるとても良い旅の時間となりました.
フェロー諸島への観光が一部の地域で可能になったこともあり,オンラインツアーは6月17日に終了したようです.下記Facebookで過去の記録動画が閲覧可能なようです.